「社名を知っている企業」の呪縛
社名を知っている企業50社に
エントリーしたAさん(仮名)の場合
サークルの先輩が、飲料メーカーから内定をもらったのです。日本で知らない人はいないような有名な企業です。同じ大学の先輩が内定をもらえたってことは、僕もそういう企業から内定をもらえる可能性があるってことですよね。
運動が好きなのでスポーツ用品を扱っているメーカーを第一志望にして、それ以外は社名を知っている人気企業に片っ端からエントリーしました。結果は惨敗。エントリーシートが通過しないか、一次面接で落ちるか。何がダメだったのか、理由が分からないので対策もできないままです。
「社名を知っている企業」の呪縛を解くカギ
学生が社名を知っている企業の多くは、ほかの就活生も社名を知っている企業。大学受験の時「倍率」というのがあったのを覚えているかな? ○○大学の△△学部は倍率が7倍だから、つまり7人に1人しか受からない。この倍率と偏差値から、自分にとってその受験が難関かどうかを判断していたよね。就職活動ではこ の倍率が公開されないから、みんなが少ない採用枠の有名企業に一斉にエントリーすることになる。
たとえば
採用人数が100名だったと仮定する。でも、その企業にエントリーしている学生が3万人いたら倍率は300倍、つまり300人に1人しか受からない。有名企業50社にエントリーしているということは、すべての企業でこの事象が発生していることになる。しかも、社名を知っている人気企業に片っ端からエントリーしたAさんより、その企業に入りたいという熱意をもってそれぞれの企業に応募している学生が大勢いることは明白だよね。
この説明で伝えたいのは
そんな倍率なら落ちても仕方ないということではなく、応募には「熱意」が必要だということ。人事担当者だって、社名を知っている人気企業に片っ端からエントリーしている学生より、自社に強い関心を持ってエントリーしてくる学生と会いたい。かっこいい男子、かわいい女子に片っ端からアプローチしている異性がいたら、あなたは交際を希望するだろうか? 興味を持ったきっかけはCMでよく見かける社名や商品だからかもしれないけれど、「御社は有名で安定しているから応募しました」という志望動機では、大量に集まるエントリー者の中から選ばれる人材にはなれないってこと。
ちなみに
社名や商品が一般消費者に知られていなくても優良な企業はたくさんある。「社名を知っている」に拘りすぎると目に見えない倍率の高すぎる企業にだけエントリーしている可能性があることを覚えておこう。