6.評価基準
企業は、定められた期間に従業員の取り組んだ仕事が、組織や業績にどのぐらい貢献したのかを評価します。分かりやすい例で考えてみましょう。「実力主義」を掲げる株式会社○△□△に勤務する2人の従業員がいます。
2人はある商品を販売する仕事をしており、それぞれ毎月10個の販売目標があります。半年では 10個×6か月=60個を販売するのが目標です。Aさん(25歳)は商品を80個売りました。目標達成率は133.3%です。一方、Bさん(30歳)は商品を50個しか売れませんでした。目標達成率は83.3%です。この場合、評価基準が「実力主義」である株式会社○△□△は、Aさんを評価してAさんの給与を上げ、Bさんの給与を下げます。
実際はここまで単純な話ではありませんが、頑張った分だけ報酬を支払うという仕組みだと理解してください。もし、株式会社○△□△が「年功序列」の評価をする企業だったら、Aさん(25歳)とBさん(30歳)は、Aさんのほうが多く販売できたとしても、Bさん(30歳) のほうが高い報酬をもらえることになります。「年功序列」とは、年齢が高い、社歴が長い人が多く報酬をもらえる制度で、日本の企業の多くは、これまで「年功序列」が一般的でした。
近年、グローバル化に伴い、その評価基準を見直し、「実力主義」を導入する企業が増え、年齢や社歴に係わらず優秀な人材が評価される時代になりつつあります。一方、「年功序列」の考え方を大切にしている企業もあります。
先ほどの例に戻って、Bさんがこの半年の間に商品を50個しか 売れなかった理由を聞いてみると、実は、Bさんは新しく入社したCさん(24歳)が仕事を覚えられるよう教育・サポートをしていたことが分かりました。BさんのおかげでCさんは同じ期間に商品を30個販売することができ、新人の販売目標を達成することができた!と感謝していますが、BさんがCさんに仕事を教えずCさんが販売した30個をBさんが売っていたとしたら…Bさんは80個の商品を販売して目標を達成することができたかもしれません。
「実力主義」のもとでは、正しい評価基準を設けないと新人に仕事を教えていると給料が下がってしまうなどの問題もあります。評価制度は、社風や職場の人間関係にも影響する可能性がある重要な指標です。それぞれの制度のもとで、従業員がその制度をどのように捉えて働いているのか、言葉だけでなく実態をつかむことが大切で す。
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