3.企業規模(従業員数)
大手企業と中小企業の違いを具体的に説明できますか? その違いは、「従業員の数」や「資本金の額または出資の総額」にあります。
中小企業基本法では、 業種ごとに「従業員数50~300名以下」または「資本金の額または出資の総額が5,000万~3億円未満」に該当する企業または個人を中小企業と定義しています。これは、中小企業政策における基本的な政策対象の範囲を定めた「原則」であり、一般的には従業員数が301名以上だからといって大手企業に括ることは少なく、1,000名以上、3,000名以上などの基準で考えられることが多いでしょう。
大学の同級生の数、同じ学科に所属している学生数、所属サークルのメンバー数をイメージしてください。学校の規模にもよりますが、たとえば同じ大学の同級生が3,000人いるとします。これは大手企業の人数規模です。同じ学科に所属している学生が300人、所属サークルのメンバーが50人いるとします。これが中小企業の人数規模です。サークル50人の顔と名前は思い出せるし、それなりに仲もいいけれど、学科300人の中には知らない人もいるでしょう。同級生3,000人のことは10%ぐらいしか知らないかもしれません。これと同じことで、中小企業の場合、社員同士お互いの顔と名前が一致する関係を築くことが容易であり、社長にあなたを覚えてもらうこともできます。役員から直接指導を受けられるチャンスもあるでしょう。同期入社者は数名~数十名で、従業員全員で社員旅行に出かけるなど、アットホームな職場環境であることが期待できます。
一方、従業員数3,000名の大手企業の場合、3,000名全員と接点を持つ機会のある組織は少なく、同期入社者が数百名であることも珍しくありません。数百名の同期の中で社長や役員に顔と名前を覚えてもらうのは難しいことが分かると思います。この人数の差は仕事内容の違いにも表れます。大手企業の場合、効率的に仕事を進められるようある程度分業化されていたり、システム化されていたりすることが多く、入社後数年は担当業務に注力することになります。営業職であれば、まさに担当の商品を「売る」以外の業務は他の専門家が対応するといったケースも珍しくありません。中小企業の場合、同じ営業職であっても複数の商材を扱ったり、営業以外の仕事も兼任したりするなど、業務範囲が少し広くなることもあります。
大手企業と中小企業の違いはここで一例として取り上げた以外にもさまざまな観点があり、どちらが良いと言えるものではありませんが、自分は大手企業で働くのが合っているのか中小企業で働くのが合っているのか、企業研究を進めながら考えてみましょう。